消費財メーカーは私たちにとって非常に身近なものであり、多くの人々の生活を支える存在です。
しかし、競合が多く、マーケティングがうまくいかないと悩んでいるメーカーのご担当者もいるのではないでしょうか。
そこで、本記事では消費財メーカーの業界動向やマーケティングの重要性、具体的にどのようにマーケティングを実施するのかを解説します。
ただ実施するだけではなく、成功させるためのポイントや他社の成功事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。自社でどのような形でマーケティングを実践していくべきか見えてくるはずです。
消費財メーカーとは、個人や家庭で使用する目的で購入する製品・サービスを製造・販売する企業のことをいいます。
人々の生活の快適さや便利さを支える、なくてはならない存在といえるでしょう。
消費財は購買頻度が高く、繰り返し購入・使用される特徴があります。そのため、選ばれる製品・サービスとなるよう、顧客のニーズに沿ったマーケティングを行わなければなりません。
消費財メーカーは具体的にどのような商品を取り扱っているのでしょうか。基本的に使用期間が数日から数か月といった短期間のものが消費財に該当します。
購買頻度が高く、安価な商品が多いのも特徴です。
一方、数年から数十年使用されるものは耐久財と呼ばれます。
消費財の中でも代表的なのが、家庭日用品、ビューティーケア、メイク関連商品です。それぞれ解説します。
消費財メーカーが取り扱う家庭日用品は、毎日の生活に欠かせない製品です。以下のようなものが挙げられます。
【家庭日用品の例】
家庭日用品は、日常生活のケアや清掃に欠かせない消耗品です。
ビューティーケアは、美容や健康の維持を目的として使われる商品です。
【ビューティーケア関連商品の例】
身だしなみや美容のために使われるケア商品が該当します。
ビューティー商品は、主にメイク道具や肌に直接使う化粧品を指します。
【ビューティー関連商品の例】
ビューティー関連商品は、いずれもトレンドの影響を受けやすいアイテムです。
マーケティングを理解する前に、まずは消費財メーカーの業界動向を確認しておきましょう。消費財は私たちの日常生活に欠かせないものであり、衣食住に関わる幅広い商品を含みます。
消費財メーカーは生活必需品を扱っているため、今後も一定の需要が存在し続けると考えられる業界です。さらに、短期間で消費される商品が多いため、継続的な購買が見込める点も企業経営の安定につながっています。
しかし、人口構造の変化やライフスタイルの多様化によって、求められる商品の種類や価値は絶えず変化しています。近年はデジタル技術の普及により購買チャネルが多様化し、従来の店舗販売だけではなく、ECサイトなどを通じて消費者と接点を持つようになりました。
その結果、消費者の購買行動は複雑化し、単純に価格の安さだけではなく、品質やブランド価値、利便性といった要素も重要視されるようになっています。高級志向の消費者と価格重視の消費者の両方が存在し、それぞれに対応する戦略が求められています。
加えて、原材料価格の高騰は多くのメーカーにとって深刻な課題です。値上げを行えば買い控えを招く恐れがあるため、各社はコスト削減や効率化を進めながら価格を抑える工夫を行っています。
さらに近年は海外進出の動きも加速しています。海外市場に積極的に展開する企業が増えており、海外事業が売上を支えるケースも少なくありません。
今後の市場シェア拡大には、国内外両方の市場特性を踏まえたマーケティング戦略が重要になってきます。
消費財メーカーにとって、マーケティングは売上を左右する非常に重要なものです。
消費財は消費者にとって身近なものであり、なくてはならないもので、一定の需要があるのは間違いありません。しかし、競合が多いことから、自社商品を選んでもらうための差別化ができなければ、他社商品に埋もれてしまう可能性があります。
気に入った商品を購入し続ける方も多いことから、消費者からの支持を集めることが大切です。
商品そのもの自体の機能やデザインがよいことに加え、ブランディングや広告についても工夫していくことが求められます。
単に商品の良さを強調するだけでは、顧客の購買動機と合致しなければ購入にはつながりません。
頻繁に購入される消費財だからこそ、消費者の心に響くメッセージを届けたり、自社商品ならではの良さを知ってもらうためのマーケティングが必須です。
実際に消費財メーカーがマーケティングを実施する場合は、どのような流れで進めていくことになるのでしょうか。ここでは、全体のステップを解説していきます。
初めに行うのが、市場分析です。市場全体の最新情報を把握するところから始めましょう。
正しく市場分析ができていなければ、マーケティングはなかなか成功しません。
消費財は購買頻度が高いこともあり、市場環境は短期間で変化します。ライフスタイルの変化や購買チャネルの拡大などをしっかり分析しましょう。
市場全体を把握できたら、自社が重点的にアプローチすべきターゲットを設定します。消費財はさまざまな層に利用されますが、すべての層に向けた訴求を行っても効果は限定的です。
中途半端なアプローチになってしまうことも考えられます。そのため、ペルソナと呼ばれるターゲット像を明確な形で作成し、その人に響く形でマーケティングを行っていくことが重要です。
ターゲットを的確に設定できていると、その後の施策も一貫性をもって進めやすくなります。
あらかじめ設定しておいたターゲットに合った製品戦略を立案していきます。消費財メーカーは非常に多く、代替品も溢れている状況です。
そのため、自社の製品を選び続けてもらうためには、他社との差別化が欠かせません。
競合の分析を行い、価格戦略を決定しましょう。また、自社ならではの魅力を感じてもらえるようなパッケージデザインの最適化や、商品の信頼性を向上させるための製品テストなども行います。
自社商品の魅力を届けるためには、効果的なプロモーション戦略を考える必要があります。
テレビCMや雑誌広告なども効果的ではありますが、近年はSNSで情報収集する方が増えているので、デジタル施策にも取り組んでいきましょう。
大切なのは、はじめに設定しておいたターゲット顧客に対して効果的と思われる方法を選ぶということです。ターゲットと製品戦略を踏まえ、適したプロモーション戦略を立てましょう。
どのチャネルで販売するのかは非常に重要なポイントです。これもやはり、ターゲットが選びやすいチャネルを意識しましょう。
既存チャネルの評価を行い、問題がある場合は新規チャネルの検討も必要になります。
近年はスマートフォンからの購入が増えていることもあり、オンライン経由のチャネルを整備しておくことも重要です。店舗販売のほか、インターネット上でしか購入できない限定商品や、定期購入割引などを導入するのも効果的といえます。
実際に計画を実行し、その結果を分析します。ただ計画を実行するだけでは、予定していた通りの結果が得られているのかわかりません。必ず、結果をデータとして収集・分析しましょう。
分析を行う際は、売上や利益、Webサイトへのアクセス数など、目標に合ったKPI(Key Performance Indicator:業績を評価して管理するために用いられる定量的な指標)を定めておく必要があります。
計画を実行して分析した結果をもとに、改善を繰り返していきます。紹介しているように、消費財市場はトレンドが変化しやすいため、一度成功した施策でも継続的に効果を得られるとは限りません。
また、施策の効果が思うように出られなかった場合も、その原因を追究して改善していくことが重要です。
PDCAサイクルを回し、施策を定期的に見直しましょう。
マーケティングを成功させるためには、どのようなことがあるのでしょうか。ここでは、意識しておきたい5つのコツについて紹介します。
消費財は競合商品が多いこともあり、商品の特徴や価格のみで他社と大きく差別化するのは難しいことです。そこで、ブランドの構築を意識しましょう。
たとえば、商品の魅力をわかりやすく伝え、一目でそのメーカーのものだと分かるようなロゴ・パッケージデザインを考えてブランドの一貫性を保つのもおすすめの方法です。
ブランドのコンセプトや価値観に共感してもらえれば、他の商品を手に取ってもらえる可能性も高まるため、ブランドの構築は非常に重要です。
顧客が求めている商品を提供し続けるためには、顧客を深く理解することが欠かせません。
データ分析や市場調査により商品の主要シーンを具体的に把握し、魅力的な商品の開発・提供につなげましょう。
SNSでの消費者の声を分析し、顧客理解につなげる取り組みもおすすめです。
効果的な形での販促戦略について検討していきましょう。競争が激しい市場であるからこそ、他社との差別化につながるような販促戦略が必要になってきます。
たとえば、割引クーポンを提供したり、複数商品をセット販売するなどの対策が効果的です。また、インフルエンサーに協力を呼びかけて行うインフルエンサーマーケティングを実施するのもよいでしょう。
さらに、小さな子どもや子育て世帯をターゲットとする商品には、園サンプリングが効果的です。園サンプリングとは、幼稚園や保育園、認定子ども園などで行うプロモーションのことです。
保護者には園児の手から商品やクーポン、販促物が渡ることになり、園児や保護者・ファミリーをターゲットにしている場合は特に向いています。
サンプリングからSNSや口コミで情報が広がることもあるため、商品の認知拡大にも役立ちます。
売れる商品を作るために商品自体にこだわることももちろん重要ではありますが、どれだけ優れている商品でもそもそも消費者の目に触れなければ購入されることはありません。
そのため、販売経路を充実させることが重要です。小売店舗、代理店、オンライン販売など、複数の販売経路を持つことをおすすめします。
販売経路を限定してしまうとその方法を選択できない顧客を逃すことになるので、注意が必要です。
製品は開発して終わりとするのではなく、改良を重ねましょう。
この時に役立つのが、利用者の口コミや、フィードバック、市場調査の結果です。
顧客満足度を高めるために必要な改良を行うことが求められます。ただし、現在の商品で満足しており変更を好ましく思わない消費者がいることも考えられるので、このあたりも考慮しながら検討していかなければなりません。
実際に各消費財メーカーでは、どのような形でマーケティングを成功させているのでしょうか。ここでは、消費財メーカーである花王、ライオン、クラシコム、ランクアップのマーケティング成功事例について解説します。
花王は、実に幅広い分野で多くのシェアを持つ企業です。さまざまな形でマーケティングを行っていますが、その中でも注目したい取り組みとして、オウンドメディアの「くらしの研究」が挙げられます。
くらしの研究は、花王の生活者研究から得られた知見のほか、暮らしに役立つ情報を提供するサイトです。
消費者とのコミュニケーションのためのサイトとしての役割を果たしています。
特に新型コロナウイルスの流行が拡大した際には「with コロナの暮らし」をより快適にする生活情報のタイムリーな発信を行いました。
信頼性の獲得や、認知度向上にも役立っています。
また、各地で最新の研究と連動し、それを取り入れる形で商品開発を行っているのが特徴です。花王は海外も含めて17の研究所(※)を構えており、研究の成果や技術を融合させる形で各地域の消費者に合わせた商品開発とマーケティングを行っています。
こういった取り組みにより、競争の激しい市場で安定した成長を実現している会社です。
(※)
参考:花王 :研究開発拠点
オーラルケアや洗剤を中心に事業を展開しているライオンは、暮らしに役立つさまざまな情報を発信するオウンドメディア「Lidea(リディア)」を運用しています。
ライオン製品について詳しい情報が手に入るほか、コメント投稿で貯まるポイントを使って商品のプレゼントに応募できるなど、楽しく閲覧できるオウンドメディアです。実際にコメントは盛り上がっており、消費者とのコミュニケーションに活用されています。
また、ライオンは社会課題解決のための取り組みにも力を入れているメーカーです。1996年にO-157による食中毒が社会問題となった際には手洗いの習慣化を呼びかけ、2000年以降は同社の「キレイキレイ」がハンドソープ市場NO.1ブランドになりました(※)。
単純な商品の宣伝ではなく、生活改善の手助けとして位置づけることで、効果的なマーケティングにつなげています。
(※)
参考:ライオン:キレイキレイ
クラシコムは、インテリア・雑貨のECサイトである「北欧、暮らしの道具店」を運営する企業です。
サイト上では、スタッフの愛用品やスタッフの着用例などが紹介されており、販売されているアイテムをより具体的にイメージできるようになっています。
記事や動画で商品の使い方を紹介し、ユーザーに共感や憧れを抱かせるようなマーケティングに取り組んでいるのが特徴です。
近年はSNSを活用してファンとの関係を深めています。各種SNSを利用しており、編集部スタッフのコラムや、各アイテムの活用方法を紹介する中でファンを増やしました。
各商品を単体で宣伝するというよりもライフスタイル全体を提案するようなアプローチを実施しています。
参考:北欧、暮らしの道具店<
ランクアップは「マナラ ホットクレンジングゲル」で有名になった化粧品メーカーです。ランクアップが行っているマーケティングの特徴として、顧客との信頼関係を軸にした一人ひとりに寄り添うマーケティングが挙げられます。
2024年12月時点で累計2,600万本(※)を突破する大人気商品となったマナラ ホットクレンジングゲルは、たった1人の悩みを解決することにこだわり、開発されました。
「悩み解決カンパニー」を名乗っており、利用者の悩み解決につながるような商品開発を重ねています。
また、会える通販会社を目指していて直接消費者と会える交流会やコンテストなどのイベントを開催しているのも特徴です。顧客理解と信頼の積み重ねにより、競争の激しい化粧品業界で評価されています。
(※)
参考:★マナラ化粧品:開発秘話
マーケティングにはさまざまな方法がありますが、現代の消費財メーカーが力を入れたいものとして、デジタルマーケティングの活用が挙げられます。
まず、SEOに注目してみましょう。Googleなどの検索エンジンで上位表示を狙うための対策であり、購買意欲の高いユーザーにアプローチするためにも欠かせません。
また、自社のWebサイトを整備し、消費者に製品情報やブランドの魅力をわかりやすく発信しましょう。自社情報を積極的に発信することは、マーケティングの基本です。
さらに、購入履歴やそれぞれの興味に合わせた情報を定期的に届けるメールマーケティングにも注目してみてはいかがでしょうか。リピート率向上のための取り組みの一つとしても効果的です。
他にも、SNS広告やインフルエンサーを活用した宣伝は注目されやすく、短期間でのブランド認知率向上にも役立ちます。自社に合ったインフルエンサーがいる場合は検討してみましょう。
今は多くの消費財メーカーでデジタルマーケティングに力を入れている時代です。
他社と比較して乗り遅れてしまわないように注意しなければなりません。
今回は、消費財メーカーが行いたいマーケティングについて解説しました。単純に商品を販売するだけではなく、市場分析やプロモーション戦略などを、さまざまの角度からマーケティングを検討することが重要です。
小さな子どもや、その親世代をターゲットにしているのであれば、幼稚園・保育園・認定こども園へのサンプリングはいかがでしょうか。
PeeKaBooでは、園で先生から園児へ手渡しで商品やチラシ、販促物などを配布していただく園サンプリングが可能です。
また、園内モニタリングにも対応しているので、興味のある方はぜひご相談ください。
他にも幼稚園・保育園イベントや幼稚園・保育園モニタリングを行っているのでぜひご覧ください。
株式会社エンジン
代表取締役 常盤 亮太
世の中の原動力となるような会社にしたい。
その想いから社名を「エンジン」と名付けました。
また、人と人の縁を大切にし、仁義を重んじること。
そして、円陣が組めるくらい、そんな人間の集団を創っていくこと。
そんな想いも込めています。
当社では、企業=人という考え方が根底にあります。
世の中の原動力となるような会社は当然ですが素晴らしい企業であり、
素晴らしい企業であれば、素晴らしい人間の集団であると思っています。