ターゲットの決め方は?設定すべき理由も解説

マーケティングを考える上で、「ターゲット設定」という言葉を耳にすることがあります。
顧客層を絞り込み、効果的に商品・サービスを展開していく上で欠かせない考え方です。

この記事では、ターゲット設定とはそもそも何なのか、なぜターゲット設定をする必要があるのか、そしてターゲット設定はどのように行えばいいのかについて解説します。

なんとなくわかってはいるけれど、どうしたらいいのかよくわからないという人は必見です。

ターゲット設定とは?

ターゲット層とは、自社の商品やサービスを売る際に対象となる顧客層のことです。
商品やサービスをどのような人に向けて提供するか、年齢・性別・居住地区・職業などで分類します。
ターゲット設定をすることで、対象となる相手が絞られ、効果的にマーケティング活動を行ったり、効率よく商品やサービスを必要とする人のところに届けられたりします。

例えば、中学受験塾であれば、中学受験を考えている小学4年生から6年生の子どもとその保護者がターゲット層として設定できます。
同じ小学校4年生から6年生の子どもがいる家庭でも、中学受験を考えていない家庭はターゲットから外れ、同じ受験生でも高校生は受ける試験が違うのでターゲットになりません。

昨今は人々のニーズが細分化し、「みんなに響く」商品やサービスの提供が難しくなってきています。
特定の層に響く商品やサービスを提供することが求められる中で、その商品やサービスはどういう人をターゲットとするのか細かく設定することが必要不可欠になっています。

セグメントとの違い

セグメントはある基準に従って分類されたグループのことです。
それに対してターゲットは自社のマーケティングに沿って選んだ幾つかのセグメントを意味します。

ターゲットを設定すべき理由

マーケティングにおいて、ターゲット設定が重視されるのにはいくつか理由があります。
ここでは6つの理由をご紹介します。

理由①商品やサービスを競合と差別化できる

1つ目の理由は、競合との差別化です。

人々のライフスタイルも多様化し、「年齢」「性別」といった大まかな区切りで消費者を分類していたのでは、本当のニーズを満たすことができません。
細かくターゲットを設定し、自社の製品やサービスをターゲットの生活のどのような場面で、どのように使ってもらうのかまで細かく丁寧に考えていきます。
そうすることで、そのターゲット層にはより「深く刺さる」商品やサービスの開発をすることができ、競合他社と差別化することができるのです。

理由②生産性の向上を促すことができる

2つ目の理由は、生産性の向上です。

ターゲット層を明確に設定し社内の共通認識とすることで、異なる部門間での認識のずれを防ぐことができます。
そうすれば、無駄なリサーチをかけたりあまり効果のない広告を出したりすることがなくなり、生産性が向上します。

理由③継続利用できるロイヤルユーザーを獲得できる

3つ目の理由は、継続利用できるロイヤルユーザーを獲得できる可能性が高まることです。

ロイヤルユーザーとは、似たような内容の商品やサービスがたくさんある中から自社の商品やサービスを利用してくれるユーザーのことです。

設定したターゲット層にうまくはまったユーザーに、ある自社製品がうまくマッチした場合、その商品をリピート利用してくれたり、「〇〇のメーカーだから信頼できそうだ」という理由で自社製品を選んでくれたりして、ロイヤルユーザーになっていく可能性が高まります。

ロイヤルユーザーが増えると、売上が向上することはもちろんですが、それ以外にもメリットが多くあります。
例えば、ロイヤルユーザーの購買行動から、設定したターゲット層の情報を集め、商品開発やマーケティング活動に活かすことができます。
より細かいニーズを満たした製品作りをすることができるので、顧客満足度を上げることにもつながるでしょう。

理由④ターゲットニーズに合った機能を追加できる

4つ目の理由は、ターゲットニーズに合った機能を追加できることです。

先のロイヤルユーザーを獲得できることでのメリットとも重なる部分もありますが、具体的にユーザー層を絞ることで、ニーズも絞りやすくなります。

絞られたニーズを詳細に分析することで、ターゲット層がより魅力的に感じるであろう機能を追加することができ、商品やサービスの、ターゲット層からの満足度評価が更に高まるので、好循環となるでしょう。

理由⑤費用対効果を最大化できる

5つ目の理由は、費用対効果を最大化できることです。

例えば、サプリメントの広告を打つとしましょう。
サプリメント自体はどの世代の人でもターゲットになりえますが、だからといって全世代をターゲットにしたのでは、当たり障りのない広告しか作れません。

成分から考えてターゲットを「仕事や家事育児介護などで体力的に無理をしがちな30代40代の女性」に絞ることで、その世代からの支持が高いタレントやインフルエンサーに出演を依頼する、その世代からのアンケート結果を広告内容に盛り込むなどすることで、よりターゲットが「自分のことだ」と感じる広告を作り出すことができます。

このように、ターゲットとする層に効果的にアプローチすることができるので、費用対効果が高まります。

サンプリングの費用相場を知りたい方は、ぜひ下記の記事を参考にしてください。

サンプリング費用対効果を左右する3種類の料金相場

理由⑥ターゲットに合わせた情報発信ができる

6つ目の理由は、ターゲットに合わせた情報発信ができることです。

例えば、テレビよりも動画サイトをよく見る層に向けてテレビCMを流しても高い訴求効果は見込めません。
ただし、その層に人気のある俳優が出演するドラマの時間であれば訴求効果は普段よりは高くなるでしょう。

このように、ターゲット層を設定し、その層のライフスタイルや行動パターン、人気のあるもの、人、場所などを徹底的にリサーチすれば、ターゲットにあった形での情報発信が可能です。

より効果的に情報発信することができれば、広告宣伝費用を効果的に使うことができます。

下記記事では、ファミリー層のマーケティングについて解説しているので、ぜひ参考にしてください。。

子育て世代に効果的なマーケティング戦略とは?

ママインフルエンサー|ファミリー層向けマーケティングを加速する方法

ターゲットユーザーを決めておくことのメリット

ターゲット設定を細かく作り込んでおくことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット①マーケティングの方向性や戦略を決められる

ひとつ目のメリットは、マーケティングの方向性や戦略を決められることです。

細かく属性を絞ってターゲット設定を行い、その設定されたターゲットを社内で共有することでマーケティングの方向性や戦略が決めやすくなります。
また、その決めたターゲット設定、マーケティングの戦略も社内で共有することで、より効率的に仕事を進めることができます。

メリット②コンバージョン獲得と費用対効果が向上する

続いてのメリットは、コンバージョン獲得と費用対効果が向上することです。

コンバージョンとは、ホームページに来訪した人が、こちらの意図する行動を取ってくれることを指します。
例えば、資料請求をする、サービスを申し込むなどです。

ターゲットユーザーを絞り込んでおくことで、そのユーザー層のニーズによりマッチした商品やサービスを紹介したり、開発したりすることが可能になります。
ユーザーにしてみれば、訪問した先に自分の生活に合いそうな商品・サービスがあれば、問い合わせをしたり、買ってみたりといった行動をしやすくなります。

結果としてコンバージョン獲得がしやすくなり、開発に関する費用対効果や、宣伝に関する費用対効果が向上することとなります。

メリット③社内や関係者への認識の共有ができる

さらに、ターゲットユーザーを絞り込んでおくことで、社内や関係者への認識の共有ができます。

この商品はこういったユーザー層をターゲットとしている、ライフスタイルはこんな感じ、趣味志向はこんな感じ…とより具体的なユーザー像を提示することで、社内での共有する情報の精度が高くなり、認識のずれが少なくなります。

認識が正しく共有されれば、無駄なコストがかかる可能性も低くなります。

ターゲットユーザーの決め方・設定方法

では、ターゲットユーザーはどのように設定するのがよいのでしょうか。

ユーザー属性

ユーザー属性とは、年齢や性別、職業、収入、家族構成など、その人の社会的な属性を指します。

ユーザーの地域

ユーザーの生活する地域です。
「関東地方」「九州地方」などの大きなくくりで設定する場合もあれば、「東京都」「埼玉県」のように都道府県レベルのもの、「世田谷区」「横浜市緑区」などのようにさらに細かく設定する場合もあります。

ターゲットとなる人々が生活する地域の特性を分析することも重要です。
そこに住む人々の移動手段は車がメインなのか、バスの利用頻度が高いのかといった交通手段を知ることも、どの媒体で広告を打つかを検討する材料となるからです。

ユーザー心理や行動

ユーザー心理や行動もターゲットユーザーの決め方・設定には欠かせません。
何に興味関心があるのか、どんなものにならお金を払ってもいいと思っているのかなど、過去の行動履歴やマーケティング調査をもとにユーザー像に組み込んでいきましょう。

ターゲット層の種類

このように設定したターゲット層ですが、商品やサービスへの興味関心や関わりの深さに応じて4つの層に分けられます。

①明確層

明確層とは、一番購入・申し込みに近いところにいる層です。
自社の製品やサービスに興味関心があり、製品やサービスに対する認知もあります。
自社ホームページを訪問したことがある人が多いのも、明確層のユーザーの特徴です。

②顕在層

顕在層とは、自社の製品やサービスへのニーズが明確になっている層です。
購入・導入のために自社の製品やサービスについて積極的に調べる可能性が高く、ホームページ来訪が期待できます。

③準顕在層

準顕在層は、自社の製品やサービスに合致するニーズは持っているけれど、自社の製品やサービスを認知はしていない層です。
この層は、自社の製品やサービスを認知することで、顕在層に変わる可能性を持っています。

④潜在層

潜在層は、自社の商品・サービスに対して明確なニーズを持ってはいないが、潜在的なニーズは持っていると考えられる層です。
まずは商品・サービスの存在を知ってもらい、ニーズを呼び起こすために、その層がよく利用する媒体での広告配信が効果的なアプローチとなります。

ターゲットを決める際に活用できるフレームワーク

ターゲットを決める際には、やみくもに属性を挙げても効果的なターゲット設定は行えません。
理論的なフレームワークを活用することで、より効果的に、より適切にターゲット設定を行うことができます。

ここでは、STP分析とペルソナ分析の2つの手法をご紹介します。

STP分析

STP分析とは、市場を分析し、競合との差別化を図ることによって効果的なマーケティング戦略を立てていくためのフレームワークです。

STP分析においては、以下の3つの観点が重要となります。

  • Segmentation(セグメンテーション)
  • Targeting(ターゲティング)
  • Positioning(ポジショニング

 

以下、詳しく説明していきます。

Segmentation(セグメンテーション)

セグメンテーションは、「区分」「区分け」の意味です。
自社が製品やサービスを提供しようとする市場にいる顧客を、顧客の特性やニーズに応じて分類することで、市場の細分化を図ります。
多くの場合は市場調査の後に実施され、のちに実行するターゲティングやポジショニングのベースにもなる、重要な役割を担う工程です。

セグメンテーションを実施しない場合、自社製品やサービスがどのような人物に求められているのか、はっきりしないままにターゲティングを行ってしまうことになります。

セグメンテーションの実施で、のちに続くターゲティングやポジショニングの対象がわかりやすくなるのはもちろん、どのようなアプローチをすべきかなど、マーケティング戦略を具体化できるようになるのです。

セグメンテーションは、以下の4つの変数を元に検討されます。

  • 地理的変数
  • 人口動体変数
  • 心理的変数
  • 行動変数

 

地理的変数とは、消費者の居住地域を基本とする変数です。
国や地域、土地ごとの気候や文化の違いは購買行動の違いにつながります。

人口動態変数とは、年齢・性別・家族構成・家庭のライフサイクル・所得水準・職業・学歴・宗教・人種・国籍などのいわゆる属性です。
人口動態変数は、消費者のニーズやサービス利用率と強く結びついているためにセグメンテーションに活用されています。

心理的変数とは、ライフスタイルや性格といった個人の内面により深くかかわる部分です。
商品やサービスを購入するのは消費者の欲求の表れであり、その欲求は各自の持つ背景によって形成されています。
つまり、心理的変数を調査することによって、消費者のニーズを把握することができるのです。

行動変数は、行動パターンによって消費者を分類するための変数です。
行動変数には、実際の購買歴や、消費者が商品やサービスを使うことによって、どのような効果を期待しているのかなどが挙げられます。
消費者の行動パターンを分析することで、購入に繋がりやすい消費者層を絞り込めます。

Targeting(ターゲティング)

ターゲティングでは細分化したセグメントをそれぞれ評価し、自社が実際に狙うべき市場はどこなのかを見極めます。
セグメントの規模や構造がどのようになっているのかを的確に把握し、その上で自社が優位性を持ちやすい市場はどこなのかを検討します。
この市場は、目標達成が見込まれる市場である必要があります。

そのために、以下のような手法でマーケティングを行います。

  • 無差別型マーケティング
  • 差別型マーケティング
  • 集中型マーケティング

 

無差別型マーケティングでは、セグメントに関係なく、多様なターゲットに同じ製品やサービスを提供します。
全ての層の顧客に似通った志向性がある、販売元が大企業で資金が潤沢なケースで用いられる手法です。

差別型マーケティングは、複数のセグメントに対してそれぞれのニーズに合った製品やサービスを提供します。
幅広く市場をカバーする必要のある大手メーカー等で多く用いられる手法です。

集中型マーケティングとは、特定のセグメントのみに絞ることでシェアの獲得を目指す方法です。
小規模企業やスタートアップ企業など、資金が限られている中で狙い撃ちをしたい時に多く使われます。

Positioning(ポジショニング)

競合他社と比較検討した上で、ターゲット市場内での自社の立ち位置を決定します。
自社の商品やサービスをどう他社製品と差別化し、どのようにターゲット層の顧客に対してより高い価値を提供するのか、戦略を練っていくことが、自社の利益最大化に繋がります。

ペルソナ分析

ペルソナ分析は、ターゲットとなるユーザーをより細分化して設定するフレームワークです。
ターゲットを深掘りして架空の人物における心理や行動まで詳細に設定していく手法のため、STP分析でターゲット層をある程度定めてから、さらにペルソナ分析でターゲット層を詳細に定めていくのが効果的です。

属性、生活地域などの大まかな属性だけでなく、ライフスタイルや趣味などの詳細な部分まで徹底的に設定したターゲット像に対して戦略立てていくことで、マーケティング効果を高める効果が期待できます。

ターゲット設定する際の注意点

ここまで、ターゲット設定することのメリットを見てきました。
しかし、ターゲットの設定の仕方を誤ってしまうと、せっかく時間をかけてターゲット設定しても意味がありません。
ターゲット設定をする際には、次のような点に注意しましょう。

すべての人をターゲット層にしない

まずはじめに、すべての人をターゲット層にしようとしないことです。

そもそもターゲット設定は、「年齢」「性別」といった大まかなくくりではユーザーのニーズに対応できなくなってきているからこそ必要性が高まっているのですが、少しでも多くの人にリーチしたいと考えるあまり、すべての人をターゲットにしてしまいがちです。

しかし、すべての人をターゲットにするのは、ターゲットを設定していないのと同じことです。
細かいターゲット設定をし、その設定を社内で共有してこそ、より効率的な商品開発やマーケティング活動ができるのです。

年齢だけで設定しない

年齢だけでターゲット設定しないようにしましょう。
たとえば、同じ20代でも職業も価値観もライフスタイルもさまざまです。
年代が同じだからといって同じニーズを持っているとは限りません。

よりターゲット層に響くマーケティングを行うには、年齢だけでなく、細かく属性を絞り込む必要があります。

ターゲット設定で売上増を目指そう

ここまで、ターゲット設定をすることで、コストパフォーマンスのいいマーケティング活動ができることがわかりました。
また、ターゲット設定をする上では詳細な分析が欠かせず、STP分析やペルソナ分析を活用するとよいこともわかりました。

しかし、一口に詳細なターゲット設定と言っても、容易なものではありません。
さまざまな知見、市場情報を分析しターゲット設定に落とし込むのは、効果も高いですが労力も時間もかかります。
自社でそこまでやりきれない場合には、プロの手を借りるのも一つの方法です。

ターゲット設定をうまく活用して、効果的に売上増を目指していきましょう。

他にも幼稚園・保育園イベント幼稚園・保育園モニタリングを行っているのでぜひご覧ください。

監修者

株式会社エンジン
代表取締役 常盤 亮太

世の中の原動力となるような会社にしたい。

その想いから社名を「エンジン」と名付けました。
また、人と人の縁を大切にし、仁義を重んじること。
そして、円陣が組めるくらい、そんな人間の集団を創っていくこと。

そんな想いも込めています。

当社では、企業=人という考え方が根底にあります。

世の中の原動力となるような会社は当然ですが素晴らしい企業であり、
素晴らしい企業であれば、素晴らしい人間の集団であると思っています。

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