顧客のニーズを調査して、その調査結果をもとに商品・サービスを顧客に提供することを「マーケティング」と言います。簡単にいえば、商品やサービスが売れるような仕組みをつくることです。これには、市場調査や広告宣伝、データ分析など、さまざまな意味合いが含まれます。
本記事では、メーカーのマーケティングにおいて有効的な施策や、マーケティング成功のためのポイントを解説していきます。また、実際の成功事例も交えてご紹介しているので、ぜひご参考ください。
メーカーでのマーケティングは、どんどん必要性が高まってきています。
しかし、IT業界と比べてみるとやや遅れている印象です。
日本のメーカーは海外に比べて職人志向であることが多く、「良い物を作れば売れる」と考える人が多くいます。その考え方自体は間違っていませんが、職人志向が強いあまり、消費者のニーズや価値観などはあまり重要視されてないのが現状です。
しかし、現代は似たような用途の製品が増えてきていることから、マーケティングの精度により売上が大きく影響してしまいます。
そのため、以前よりもマーケティングの必要性が高まってきているのが現状といえます。
メーカーがマーケティングを行うときは、「マーケットイン」の考え方が必要です。
マーケットインとは、消費者のニーズや価値観をもとに製品やサービスを提供することです。
具体的には、通勤でしか車を利用しない人のために、車のサブスクリプサービスを提供したり、人気のある中古車の見た目をそのままにした復刻版の車を発売したりという事例があります。
このように、消費者のニーズに合わせた製品を提供しているとファンが増え、売上が上がり、さらなるサービスの提供が可能になるでしょう。
マーケットインの考え方が必要なのは、IT業界もメーカーも変わりません。
すべての販売業で必要なのが、マーケットインの考え方です。
ここからは、メーカーのマーケティングにおける仕事内容について紹介します。
それぞれの仕事内容を詳しく紹介しましょう。
市場調査とは、消費者がどんな製品やサービスを求めているのかを調査することです。
具体的に消費者は何に不満を持っているのか、既存の製品の満足度はどれくらいか、地域によって満足度に違いはあるかなどを調査します。
調査方法は、以下の通りです。
アンケートは、既に自社製品を利用している顧客層に対して行うものと、街頭調査などといった不特定多数の層に対して行うものがあります。
また、調査対象者と対面で行うインタビュー調査や、調査員が客として店舗を訪ねるミステリーショッパーという方法もあり、どの調査を実施するのかはターゲット層によって使い分けが必要です。
プロジェクトの立案とは、市場調査で得られたデータからどんな製品をどんな方法で提供するのか計画を立てることです。
具体的に計画した結果、社内だけでは目的の遂行が難しいと判断すれば、業務を外注することも視野に入れましょう。
その場合、外注先の調査も必要です。
立案と共に企画書を作成し、社内でプレゼンテーションを行います。
このプレゼンテーションで良い結果を得られなければ、製品の発売ができません。
そのため、説得力のあるプレゼンテーションを行う必要があります。
営業企画とは、最適な販売方法や効率のいいサービスの提供方法を考えることです。
たとえば、主婦層をターゲットにしたいのであればスーパーで販売したり、若者層をターゲットにしたのであればネット販売したりなど、ターゲットに合わせた販売方法を考えます。
ほかにも、魅力的なプレゼントを用意したり、購入特典をつけるのも営業企画の仕事です。
上記で紹介したプロジェクトの立案と一緒に進められることもあります。
実際に営業を行うのが営業部員の場合、営業部員と一緒に考えることが一般的です。
広告や宣伝は、製品を多くの人に知ってもらうための方法を考えることです。
主に、ターゲット層や費用を参考に考えます。
たとえば、ターゲット層がサラリーマンの場合電車の中釣り広告を利用したり、Webの記事を利用したりなどです。
このように、広告や宣伝では、どのように宣伝したらターゲットの目に止まりやすいか考えます。
広告や宣伝方法は売上に直接影響するため、とても大切な仕事です。
そのため、宣伝を行うタイミングや期間、タレントの選定、広告ページのデザインなど細かい部分まで吟味します。
一般的に広告部門と一緒に戦略を練りますが、外注して戦略を練る場合もあるため、外注費用がかかることも念頭に置いておきましょう。
業界によって有効な施策は違うため、ここからはメーカーに有効なマーケティング施策を紹介します。
それぞれどんな施策なのか内容を紹介します。
コンテンツマーケティングとは、消費者が求めている情報を提供することによってファンを増やす方法です。
具体的には、Webページを作成したり情報を発信したり有用な資料を提供したりします。
ファンが増えることによって売上の向上につながるのです。
提供していた情報は財産となり、情報提供を辞めたあとにも効果を発揮します。
さらに、今回の製品が売れなかったとしても、次の製品を発売するときに効果を発揮するかもしれません。
情報の発信は自社でも行うことができるため、費用が少ないところもメリットの一つといえます。
コツコツ情報の提供を行うことで、後々大きな利益を生むかもしれないおすすめの施策です。
Webマーケティングとは、Web上に広告を出稿して顧客を獲得する方法です。
広告の出稿方法はリスティング広告とリターゲティング広告があります。
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索サイトで検索したキーワードに応じて表示される広告で、無駄なくターゲットの目につくため、効率的です。
リターゲティング広告は、一度サイトを開いたユーザーに対してバナー画像の広告を出す広告で、ユーザーを追いかけ繰り返し広告を出すことで、忘れたころに成果が出ます。
Webマーケティングは自社で行うのが難しいため、効果をしっかり出したいのであれば、広告代理店などに依頼するようにしましょう。
製品ブランディングとは、製品のイメージを向上させ、他社との差別化を図るものです。
差別化を図ることによって製品に付加価値をつけることができ、ファンを作りやすいというメリットもあります。
差別化は製品の特徴以外にも、製品自体の機能や見た目のほか、製造工程や消費者の手元に届くまでの工程やラッピングでも可能です。
たとえば、製造工程で出たゴミを肥料に使っていたり、ゴミになるようなもので製品を作っていたり、手書きの手紙が入っていたりなど内容は異なります。
その製品に合ったブランディングを行うことで、購買効果は一気に上がるでしょう。
サンプリングとは、サンプルとなる製品を渡して実際にその製品の良さを体験してもらうものです。
サンプリングを行うことによって、その製品に興味が無かったような潜在顧客を獲得できます。
また、1度のサンプリングでは効果がなくても何回もサンプリングを行うことによって、その企業へのイメージが良くなり、顧客を獲得しやすくなるでしょう。
企業側もサンプリングを行った結果を収集できたり直接感想を聞けたりするためメリットの多い施策です。
展示会やイベントの実施もマーケティングに必要です。
展示会やイベントでは、来場した顧客に製品を見てもらったり良さを説明したりします。
そのため、製品に興味がある見込み客を誘導できるチャンスです。
最近では、コロナの影響で展示会やイベントもオンラインで開催されることが増えました。
オンラインで開催されたことにより、声をかける難易度があがったと思う人も多いでしょう。
しかし、オンライン開催の展示会のなかには近くにいる人にチャットを送れたり会話できたりするものもあります。
来場している人からリアルな声が聴けるためおすすめな施策です。
また、同じ業界の企業が集まっているため、ほかの製品の調査も行うことができます。
製品のレベルアップや差別化のヒントになるでしょう。
メーカーに有効なマーケティング施策について紹介しました。
さらに、マーケティングを成功に近づけるために、成功のためのポイントを6つ紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
市場調査の時点で、顧客の課題は何か正確に把握しましょう。
顧客の課題が分かれば、製品のアイデアが出しやすくなります。
顧客の課題を調べるには、以下の方法がおすすめです。
アンケートやインタビューは直接話を聞きやすく、とくにインタビューは疑問に思ったことを深く聞けます。
しかし、顧客と時間を合わせたりする必要があるため、気軽に行うことができません。
その点、リサーチサイトや口コミサイトの検索は多数の意見を集めることができます。
サービスの充実度や製品の完成度、配送サービスなど様々な観点において顧客視点で考えましょう。
そうすることによって、他社との差別化やファンの向上につながります。
メーカーは特殊な部品が多いため、製品やサービスを検索しにくさやサイトの見にくさが気になる人も多いでしょう。
そのため、検索サイトを充実させるだけでファンが増え、潜在顧客の獲得につながります。
顧客視点で考えるためには、サンプルができあがったとき、顧客視点でサンプルを使用してみましょう。
顧客を巻き込みながら販売できるような仕組みを構築しましょう。
企業側から一方的に販売すると、買わされると思ってしまい、話を聞いてくれない人もいます。
しかし、サンプリングやイベントなどを開催し、顧客を巻き込むことによってこちらの話を聞き入れてくれるようになるでしょう。
サンプリングは、試してくれた顧客から直接購入が望めなくても、口コミで良さが伝わる可能性もあります。
スーパーの試食販売がこのサンプリングのいい例です。
試食販売は、商品のおいしさを伝えるだけでなく、生の声を周りにいるお客さんに届けることができるとても有効な施策と言えます。
このようなイベントは、周りの雰囲気や高揚感から顧客を巻き込みやすいおすすめの施策です。
なるべく多くのリードを獲得しましょう。
リードとは、購入が見込まれる顧客のことで、リード数が多くなると購入する人が増えます。
ピラミッドを想像してもらえるとわかりやすいと思いますが、ピラミッドの最下部に位置しているのがリードです。
そして、ピラミッドの頂点が購入してくれる顧客のため、最下部の人数が増えると必然的に頂点の数も増えてきます。
そのため、購入者を増やすためにはリードの獲得が効果的です。
どれくらいの案件・商談を生みたいかによって、獲得するリード数の目安を決めると良いでしょう。
集めた顧客との接点を厚くしましょう。
接点を厚くするということは、定期的に製品に関する情報やセミナーの案内を送ることです。
これを行うことによって、リードをどんどん育てることができます。
リードを獲得した当初は、顧客自体そのサービスの必要性を感じていなかったとしても、接点を厚くすることによって必要になったときに選んでもらいやすくなるでしょう。
そのため、定期的に顧客の目に触れるようにしておくことで数年先の契約につながる可能性が高くなります。
コンサルティングに必要な「マーケティングファネル」を理解しておきましょう。
マーケティングファネルとは、顧客が製品を知ってから購入に至るまでの道筋のことです。
これを知り、チーム全体で理解しておくことで、もし成果がでなくなったとしても解決しやすいというメリットがあります。
顧客の行動プロセスは「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購買(行動)」の4つに分けることが可能です。
このうち、どの部分で顧客が少なくなっているのか分析し、改善することで購入数を上げることができます。
このように、問題点を可視化できるため、おすすめの分析方法です。
マーケティングを行うには、以下3つのスキルが必要です。
それぞれ詳しく紹介していきます。
マーケティングを行うには、データ分析のスキルが必要です。
市場調査やWebマーケティング、マーケティングファネルで得た結果をもとに今後どんな施策を行うのか考えます。
これらを勘や経験といった根拠のない理由で決めることはほとんどありません。
データは客観的に得た情報であり、この情報をどのように分析して顧客の購買意欲をくすぐるかがマーケティングに必要なスキルです。
マーケティングにはコミュニケーションスキルも必要です。
マーケティングは製品の制作者や営業部門、広告部門などあらゆる部門の人とやり取りを行います。
そのため、情報を正確に伝えるスキルや意見を聞くスキル、こちらの意見を伝えるスキルが必要です。
もし、意見を聞くスキルが欠如していると反感を買い、プロジェクトがスムーズに進まない可能性があります。
そのため、円滑なコミュニケーションがとれるようなコミュニケーションスキルを磨いておきましょう。
マーケティングには、プレゼンテーションのスキルも重要です。
プレゼンテーションでは、思い描いているサービスの形や仕組みを相手が理解しやすいように伝える必要があります。
そのためには、イメージを伝えるスキルやアピールするスキル、思い描いているものを言語化や具現化するスキルが必要です。
社内でのGOサインが出ないと、企画が実現できなくなってしまう可能性があるため、プレゼンテーションスキルは磨いておきましょう。
モニター調査とは、商品やサービスなどのコメントを集める調査のことです。
対象者は目的によって異なり、対象者を細かく設定することによって効率よく調査を進めることができます。
設定内容は性別や年齢、住んでいる地域のほか、収入や家族構成、車の有無などです。
モニター調査は対象者のリアルな声を聞けるため、製品の品質向上やサービス向上が可能になります。
そのため、マーケティングにモニター調査は有用と言えるでしょう。
ここからは、マーケティングの成功例を紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
株式会社クラレは、樹脂や繊維製品を製造するメーカーです。
以前まで展示会で顧客を獲得していましたが、コロナの影響で展示会が中止となってしまいました。
新規顧客が増加せず困っていたため、対面の展示会ではなく、オンラインの展示会に変更したことにより、7,000件以上の資料請求があり、新規顧客の獲得に成功しました。
SUNTORYは、お酒や清涼飲料水の製造や販売を行う飲料メーカーです。
新しくなった清涼飲料水の宣伝のため、夏に全国の中学生を対象にサンプリングを行いました。
コンビニエンスストアで対象の商品と無料で交換できるクーポンを配布し、熱中症の注意喚起のチラシも一緒に盛り込んだことによって、潜在顧客の獲得に成功しました。
株式会社I-neは、美容家電やスキンケアのブランドの開発や販売を行っているメーカーです。
5歳以上の子どもを対象に、栄養バランススムージーのサンプリングイベントを開催しました。
園児に実際にスムージーを作って飲んでもらい、美味しさや手軽さを紹介し、イベントの様子を写真に収め、Webサイトで紹介したことによって製品ブランディングも成功しました。
メーカーが行うマーケティングにおいて有効な施策や、成功事例について詳しく紹介してきました。
メーカーのマーケティングは市場調査の精密さで決まります。市場調査がしっかり行えていれば、どの施策が効果的かすぐわかるでしょう。
しかし、市場調査も簡単ではありません。今まで、市場調査を行ったことがない人が急に調査を行っても思ったような結果を得るのは困難でしょう。
そのため、プロに頼る方法も視野に入れてみてください。
上手にプロに頼って新規顧客を獲得しましょう。
他にも幼稚園・保育園イベントや幼稚園・保育園モニタリングを行っているのでぜひご覧ください。
株式会社エンジン
代表取締役 常盤 亮太
世の中の原動力となるような会社にしたい。
その想いから社名を「エンジン」と名付けました。
また、人と人の縁を大切にし、仁義を重んじること。
そして、円陣が組めるくらい、そんな人間の集団を創っていくこと。
そんな想いも込めています。
当社では、企業=人という考え方が根底にあります。
世の中の原動力となるような会社は当然ですが素晴らしい企業であり、
素晴らしい企業であれば、素晴らしい人間の集団であると思っています。