商品の購入やサービスの制約を狙うマーケティング施策に、セールスプロモーションがあります。
顧客のニーズを満たすためにさまざまな手法を選択する必要があるものの、どう選んだらよいのかはわかりにくいものです。
そこで本記事では、セールスプロモーションの種類を解説したうえで、具体的な手法とメリット・デメリットについて詳細に解説していきます。
セールスプロモーションを成功させたいものの、どの手法を選んだらよいか困っている方は、ぜひ参考にしてください。
セールスプロモーションとは「販売促進活動」といわれるものです。
顧客の購買心理に働きかけ、商品の購入やサービスの成約を狙うマーケティング施策のことをいいます。
企業のマーケティングや販売戦略において欠かせないものであり、顧客志向・顧客主義といった、対象者のニーズを満たすアプローチが重要です。
顧客の認知拡大と購入意欲を高めるため、目的に応じたさまざまな手法を選択していきます。
ひとくちにセールスプロモーションといっても、さまざまな種類があります。
成約率を向上させるためには、目的に応じてより適したプロモーション手法を選択する必要があります。
代表的なプロモーション手法は以下のものです。
では、それぞれについて解説していきます。
イベントプロモーションとは、イベントなどの機会を利用して、スポンサーが自社商品やサービスの販売を促進するプロモーション手法です。
主に以下のイベントにおけるセールスプロモーションが該当します。
上記のイベントなどを通し、参加者に商品やサービスを直接体験してもらうことが特徴です。
参加者は、ブース出展・相談コーナー・チラシやサンプル配布などにより、手に取ってサービス体験ができるため、商品やサービスをイメージしやすくなります。
実際に体験しないと良さが伝わりにくい商品やサービスを訴求したい場合、相性の良いプロモーション手法といえます。
企画・運営・準備の手間がかかるものの、「イベントに参加する」という来場者に共通した行動から、ニーズの把握ができやすいメリットがあります。
つまり、どのような商品やサービスを求めているか把握しやすいということです。
イベントプロモーションについてはこちらの記事で詳しく解説しています。メリット・デメリットや主要なイベントのタイプも紹介していますので、あわせてご覧ください。
イベントプロモーションとは?実施するメリットとデメリット
キャンペーンプロモーションは、特別感を前面に押し出して懸賞・購入特典・限定販売・割引セールといった、期間限定のキャンペーンを利用したプロモーションです。
広告・ハガキ・Webサイトなどで広く認知してもらい「お得に買える」「もらえる」「今だけ」といった訴求方法で、見込み顧客にアプローチします。
見込み顧客は住所や連絡先などの情報を提供してくれるため、リスト化することで自社商品やサービスの情報を知らせられます。
ダイレクトメールやメールマガジンを活用して継続的に情報提供できるため、対象となる顧客は新規だけではありません。既存顧客のリピート率を上げたいときにも使われる手法です。
ダイレクトマーケティングとは、見込み顧客に商品やサービスを「直接」プロモーションすることをいいます。
キャンペーンを利用した会員登録やアンケートなどをもとに顧客情報を獲得し、ニーズを分析します。
顧客ニーズを洗い出し、リストを活用してダイレクトメール・ルートサンプリング・ポスティングなどを用いてアプローチするのが特徴です。
ニーズが明確であるため、訴求内容は顧客の興味関心に合ったものとなります。
さらに、より精度を上げるためPDCAサイクルを利用し、仮説・検証を繰り返していくのもこの手法の特徴です。
ダイレクトマーケティングには、さらに以下3つの手法があります。
それぞれ解説していきます。
顧客リストを活用して、商品やサービスの案内が記載されたハガキ・折込チラシ・カタログなどを送付しアプローチするものです。
ニーズ分析ができているため、対象者の興味関心に合ったアプローチができます。
関心を惹きやすいだけでなく、効果測定のしやすさももちあわせています。
ダイレクトメールの目的は「既存顧客が継続して購入してくれるようにすること」と「一定期間利用のなかった顧客へ新たに興味関心を促し、再購入してくれるようにすること」です。
ルートサンプリングとは、施設・店舗・街頭などで試供品やサンプルを配布するプロモーションをいいます。
この手法により、自社商品やサービスをより多くの人に知ってもらうことが可能です。
また、対象となる見込み客がセグメントされているため、予算をおさえられ費用対効果が高くなります。
見込み顧客が一定のニーズをもって特定の施設や店舗を利用するため、ニーズに合ったサンプリングができると販促効果が高くなる特徴をもっています。
ポスティングとは、建物や個人宅のポストなどに広告物(チラシやハガキ)を配布する手法です。
配布エリアや個人宅をセグメントしておくことで、販促効果が高くなります。
ポスティングは顧客の潜在的なニーズに働きかける効果があります。
たとえば自宅のポストにピザや寿司のチラシが入っていると、なんだかデリバリーしてみたくなったということはないでしょうか?
このように、ポスティングすることで購入やサービス成約のきっかけをつくれるのです。
インストアプロモーションとは、店内におけるセールスプロモーションのことをいいます。
店舗をおとずれた顧客に対して、認知と購買意欲を高めるようアプローチする手法です。
具体的には、顧客の目を引く陳列・時期や流行を狙った企画・デモンストレーション販売・POPやデジタルサイネージによる広告・お買い得感を得られる値引きシールなどを利用します。
上記でご紹介した各セールスプロモーションにはそれぞれメリット・デメリットがあります。
目的に応じてより適した手法を活かせるよう、メリット・デメリットを知っておきましょう。
イベントプロモーションのメリット・デメリットには以下のようなものがあります。
イベントプロモーションのメリットは、顧客が商品やサービスを直接体験できることです。目で見て、触れて、体験することで、良さをその場で判断できます。
顧客の率直な感想や口コミなどが周囲の顧客の目に入ったり耳にしたりできるため、短時間で商品やサービスの良さが広まり宣伝効果が高くなります。
また、イベントの規模が大きいほど共通のニーズをもった来場者を集めやすいため、ターゲットを明確にできることもメリットといえるでしょう。
また、昨今はSNSを利用したプロモーションも盛んにおこなわれ、情報は拡散されやすい傾向にあります。
イベントプロモーションをSNSでおこなうと、共通したニーズの顧客から認知・注目を集めやすいといえます。
イベントへの来場者数が少ないと、費用対効果が大きく下がることがあります。
天候の影響・別のイベント会場との兼ね合い・興味を惹きやすいブースの完成度などにより、見込んでいたほどの集客ができない可能性があるからです。
予定来場者数にあわせて配布用のチラシやサンプルを用意していたのに、集客で失敗してしまい費用がふくらむことも。
また、大きなイベントを利用してプロモーションする際は、イベント全体の運営が必要になります。
当日までの準備に多くの費用がかかるだけでなく、業務量も増えてしまうため、費用・マンパワーの面で大きな負担となるでしょう。
キャンペーンプロモーションのメリット・デメリットには以下のようなものがあります。
自社商品やサービスを広く認知させ、興味のある顧客を集めやすいことです。
キャンペーンは期間限定のため、人は「今だけ」「お得」といった希少価値や限定感を出されると、損したくないという心理状態になります。
顧客にとっては情報提供のハードルが下がり、行動を起こしやすくなることで住所や連絡先の登録を促すことが可能です。
こうしてできた顧客リストを活用することで、ダイレクトメールなどを通したセールスを継続的に仕掛けられます。
新規顧客の獲得だけでなく、リピート率を上げられる点が大きなメリットといえるでしょう。
デメリットは、集客できる割に商品の購入やサービスの成約に結びつきにくいことです。
その理由は、登録で得られる特典や一時的に安く購入・利用できるという「お得感にのみ」魅力を感じている顧客が多いからです。
目当ては特典であり、商品やサービスではないといったことがしばしばあります。
そのため、多くの顧客リストを得られたとしても、成約しづらいのです。
また、予算が潤沢になければキャンペーンを打ち出すことも難しいといえます。
割引や特典の付与によって、利益率の低下が考えられるからです。
多くの認知を得られるとはいえ、成約の困難さや一時的な利益率低下といったデメリットがあることをおさえておきましょう。
ダイレクトマーケティングのメリット・デメリットには以下のようなものがあります。
メリットは、見込み顧客に直接アプローチできる点です。
事前のセグメントによりニーズが把握でき、PDCAを意識して回せばより効果の高いアプローチができて精度を上げられます。
セグメントを正確に行わないと、販促物(チラシ・広告・試供品・サンプルなど)の予算がふくらんでしまいます。
「誰に何を提供するか」を明確にし、ニーズにあった媒体でアプローチしなければ効果が出ない可能性があるため、注意が必要です。
インストアプロモーション(店頭プロモーション)のメリット・デメリットには以下のようなものがあります。
インストアプロモーションのメリットは、店内のPOPや値引きシールなどを利用して低コストで実施できる点にあります。
店内に目を惹きやすい仕組みを作ることで、人的コストを割く必要がなくなる特徴も。
また、顧客が実際に商品やサービスを手に取り体験できるため、反応の良し悪しをすぐに判断できる点もメリットといえます。
顧客は店舗をおとずれるまで購入する物を決めていないことが多いため、魅力的な広告でうまく興味を惹ければ、購買意欲を大きくかき立てる効果をもたらしてくれます。
よくある例が「ついでに買う」行動です。1個の値段が100円の物でも、「2個買うと190円になる」といったPOPが出ていると、ついでに買ってしまう人は多いのではないでしょうか。
デメリットは、店舗ありきでのプロモーションになってしまう点です。
店内の規模やセールス担当者の手腕によって、効果にバラつきが生じてしまいます。
比較的低い予算でプロモーションできるとはいえ、小規模の店舗では広告や人的配置にあまり予算を割けないこともあるでしょう。
低予算かつ効果的にプロモーションできるよう、店舗ごとのオリジナリティを試行錯誤する必要があります。
セールスプロモーションを成功させるためには、綿密な計画と効果の測定・分析などを詳細に行う必要があります。
以下では成功させるポイントについてご紹介します。
まずは、セールスプロモーションの目的を明確化することが大切です。
顧客の購買を促進することはもちろんですが「そのためにまず何をすべきか」の視点で、目的を決めなければならないからです。
たとえば目的が「商品の認知を広げるのか」「すでに認知されている物に興味を惹かせるのか」によって、アプローチの方法が変わってきます。
前者はイベントプロモーションのように多くの顧客を集められる手法が適しており、後者はダイレクトマーケティングを利用して継続したアプローチが必要と考えられます。
「購買を促進するための目的」を明確にし、適切な手法を選択しましょう。
ターゲットをしっかり絞り込むことで、どのようなプロモーションを展開していくかがはっきりします。
ターゲットの属性を考える際は、年齢・性別・購買の媒体(実店舗かECサイトか)・ニーズ・趣味趣向・好むメディアなどを調査しておくとよいでしょう。
ターゲットの属性をもとにペルソナを設定し、より適切なプロモーションを選択していく流れになります。
当たり前の話ですが「誰が何を必要としているか」がはっきりしない中でプロモーションしろといわれても、何をしていいかわからないと思います。
つまり、ターゲットには何が必要かを考えなければならないということです。
極端な例でいえば「こんな物があれば生活が便利になるはず」と考えている20代女性と40代男性では、求めるものが大きく異なるはずです。
さらに年齢・性別のみでなく「いつ、何をするのか」といった行動分析から、よりターゲットに特化したニーズを明らかにする必要があります。
ターゲットのニーズを考え、どのようにプロモーションしていくべきかが成功のポイントといえるでしょう。
セールスプロモーションでは、短期的な業績向上よりも中長期での視点を大切にしていくべきです。
プロモーションによる一時的な効果だけでは、顧客育成の効果やリピート率アップといった要素による効果判定ができないからです。次に活かすために購買活動後のアフターフォローが重要です。
たとえば以下のような方法があります。
これらの施策により顧客満足度の向上や、より良い商品への改善に役立つ可能性が期待できるでしょう。
効果測定や分析を必ず行うことも成功のポイントです。
売り上げが上がった要因が何なのかがわからなければ、継続して同じ結果が出るとは限らないからです。
インストアプロモーションを例にあげると、陳列の工夫によるものなのか、時期や流行のおかげなのか、広告によるものかなどによって、どの施策を強化すべきかはっきりさせる必要があります。
効果測定や分析には、POSデータなどをもとにした数値データからKPIを算出するとよいでしょう。
KPIは最終的なKGI達成に向けて可視化された指標であるため、設定しておくことで改善すべき部分が見えてくるでしょう。
ここまでセールスプロモーションの概要やそれぞれの手法についてメリット・デメリットを解説しました。
「どの手法を選択するか」にとらわれがちになりますが、もっとも重視すべきは「顧客のニーズ・ウォンツを満たすためには」の視点です。
顧客の分析が詳細にできればペルソナを設定でき、どの手法を選択すべきかがおのずと決まります。
手段を選ぶ前に目的を明確にしましょう。
他にも幼稚園・保育園イベントや幼稚園・保育園モニタリングを行っているのでぜひご覧ください。
株式会社エンジン
代表取締役 常盤 亮太
世の中の原動力となるような会社にしたい。
その想いから社名を「エンジン」と名付けました。
また、人と人の縁を大切にし、仁義を重んじること。
そして、円陣が組めるくらい、そんな人間の集団を創っていくこと。
そんな想いも込めています。
当社では、企業=人という考え方が根底にあります。
世の中の原動力となるような会社は当然ですが素晴らしい企業であり、
素晴らしい企業であれば、素晴らしい人間の集団であると思っています。